手術直後から抜歯まで
インプラント治療に限らず、外科的な治療をした場合は、多少の痛みと腫れを伴うことがあります。
しかし、鎮痛剤と抗生剤が処方されますので、決められた時間・回数を守って服用すれば、ほぼ数日で元に戻ります。
もし、強い痛みが続くなど異常を感じたら、すぐに来院し適切な処置を受けましょう。
また手術後数日は、血行がよくなることは極力避けてください。
手術時の傷がふさがるまでの間は、飲酒や激しい運動、入浴を避け、ゆっくりと体を休めましょう。
手術後1週間から10日程で抜歯しますが、遠隔地から来院された方や、忙しくて回数を減らしたい方には、手術のときに溶ける糸を使用して、抜歯の手間を省くことも可能です。
ただしその際は、次の検査までの間、消毒や清掃をご自身でしっかりとしていただく必要があります。
適切な術後管理がインプラント長期安定の決め手
インプラントが完全に骨と結合し、定着するためには、一般的に下顎で手術後3ヶ月、上顎で半年といわれていますので、その間をどのように過ごすかが、インプラントの長期にわたる安定のためにとても重要になります。
この時期に気をつけてほしいこととしては、毎日の食事のとり方と歯磨きの仕方があります。
治療終了後に、医師や歯科衛生士が適切な食事の方法や日常のお手入れ法について指導しますので、これを正しく守り、正しいホームケアを心掛けてください。
また、もし違和感が生じたり、お口の中に気になる症状がみられたときは、すぐに受診してください。
かみ合わせの調整
年を経るごとに歯や歯周組織の状態、嚙み砕く力など、口の中の環境が変わるとともに、かみ合わせの状態も変化します。
インプラントは天然の歯より硬いため、すり減る量が少なく、そのために周囲とのかみ合わせのずれが生じてしまいます。
とくに歯ぎしりをする傾向のある方は、インプラント以外の天然歯がすり減ることで、歯の高さに違いが出てしまいがちです。
このかみ合わせのずれを放置しておくと、ほかの歯に負担が多くかかったり、顎の筋肉を傷めてしまうこともあります。
術後の検診では、このかみ合わせのチェックも大事な要素となり、必要な場合にはかみ合わせの調整も行います。
注意しなければならないインプラント周囲炎
インプラント自体は人工歯のため、むし歯などの病気にはなりません。しかしインプラントを支える歯茎や骨は、ケアを怠ると病気になります。
代表的な病気がインプラント周囲炎です。
これは天然歯の場合の歯周病と同じく、歯周病菌による感染症で、放っておくとせっかく入れたインプラントがグラグラになって抜けたり、歯茎の炎症がひどくてインプラントを除去しなければならない場合もあります。
インプラントは人工物ですから痛みを感じないため、異常があっても発見が遅れがちになります。また、細菌感染に対する防御機能が天然歯と異なるため、感染が速く進行しがちです。
そのため、インプラント治療を行った後は確実に定期検診を受ける必要があります。
定期検診を積み重ねることで、インプラントや口腔内のわずかな変化も見逃さず早期発見、早期対処が可能となります。
また、長年使い続ければ上部構造の劣化や、インプラント以外の口腔内の経年変化でかみ合わせ等が変わり、インプラントに過重な負担がかかってしまうこともあります。
こうしたことを防ぐためにも、定期的な検診の積み重ねが大事だといえます。
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