下顎第二大臼歯が欠損したときの治療の種類
顎の多くの方が歯医者さんから初めてインプラントをお勧めされるのは奥歯7番、下顎の第二大臼歯を抜歯された時ではないでしょうか。
下顎の第二大臼歯は、正確には奥から二番目の歯です。
その奥には第三大臼歯、いわゆる「親知らず」がありますが、この歯は人によっては機能していない、あるいは生えていない場合も多く、実質的には第二大臼歯が最深部になっている方も多いです。
・顎を噛み締める際に大きな力がかかる
・食べ物の咀嚼で頻繁に使われる
・その割には歯磨きがしにくい位置にある
・親知らずが不完全に萌出している時は、さらに清掃が難しい
などの理由で、虫歯になりやすく進行も早い歯です。
仮にこの歯が虫歯で抜歯になってしまいますと、そのあとの治療法としては以下のような方法があります。
上の図のように、第二大臼歯が最深部の場合、それを失ってしまったら、治療法としては①延長ブリッジ・②部分入れ歯・③インプラントという方法があります。
ブリッジか入れ歯か、何もしないでおくか
まず①の延長ブリッジは、医院さんによってはお勧めされないケースもあります。
普通のブリッジと比較して支えになる歯が端にない延長ブリッジは、他の歯にかかる負担が大きいためケースによっては保険診療が効かないためです。
延長ブリッジで保険がきくのは「対合の歯が挺出する(伸びてくること)のを抑えるため」に治療する場合です。
ブリッジを行なった後も定期的に経過観察が必要ですし、なにより構造的に、延長した部分で強く噛むこともできません。
こういった性質のある延長ブリッジですので、5番6番に負荷をかけてまではお勧めしない、という選択をされるドクターも結構いらっしゃいます。
②の部分入れ歯の場合は、保険で作ると掛け金(クラスプ)の付いたタイプになりますが、7番単冠の義歯を作るよりは、もう7番のない状態(短縮歯列と言います)で様子見というケースが多いと思いますし、仮に作成する場合でも、掛け金のない樹脂製の柔らかい義歯(スマイルデンチャーなどのノンクラスプデンチャー)にしたりします。
この場合は自費になりますので、おおよそ10万円〜の金額になります。
患者さまの歯の状態によっては、埋伏した親知らずを使って処置ができる場合もありますが、奥歯ということもあってか、多くの方は①や②の方法をとることなく、抜歯したまま放置されておられます。
もちろん「何もしない」というのも方法の一つなのですが、その場合は必ず、定期的な診断をお勧めします。
最深部の欠損は、周囲の残った歯に思わぬリスクを発生させる場合もあるからです。
インプラントで他の歯を守る、という考え方
まず第一のリスクは、延長ブリッジのところで書いたような「対合歯の挺出や移動」です。
本来そこにあったはずの噛み合わせるべき反対の歯がなくなると、歯が伸びたり動いたりするケースがあります。
動いた歯は支持する骨を失ってぐらついたり根っこを痛めたりしますし、一番奥の歯が動くとさらに隣の歯に隙間ができて、そこも動く可能性もあります。
こうして歯並び、噛み合わせが少しずつ崩れていく恐れがあるのです。
第二のリスクは咬合力の低下です。
最深部の奥歯で噛めなくなってしまうと咬合力は極端に低下し、食べ物の咀嚼・消化、肉体的には集中力や瞬発力に影響が出てきます。
また元々噛む力が強い方の場合は、別の部分に過度な負荷がかかったり、歯が欠けたりするケースもあります。
歯医者さんが最深部の歯にインプラントをお勧めする時は、こういった「他の歯への悪影響が起こり得ると判断した時」です。
咬合の崩壊は、起こり始めたら一気に進んでどんどん治療範囲が広がってしまいます。
たった1本のインプラントでそれを予防できることを考えれば、なるべく早い時期の検討が他の歯を守ることにもつながります。
よしどめ歯科グループでは、三次元CTによる診断を随時行なっております。
奥歯一本でも何か違和感を感じた時、あるいはもうすでに抜いてしまった後でも、いつでもお気軽にご予約ご相談ください。
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